「TEC生産支援システム」
~孔明7を中心したAPSシステムの構築について~
1.製造業における「生産スケジューラ」の意義
MESは、企業情報システムの中で、ERPとDCS/PLCの中間に位置するシステムとされ、ERP(生産管理システムを含む広義のERP)が計画系を、DCS/PLCが制御系を、そしてMESは実行系を担当するシステムと位置付けられていることが多い。
MESは制御系との連携では、現場での生産の指示・制御と生産活動の結果としての実績管理に大きな効果を上げている。しかしながら、ERPとMESの連携においては必ずしも効果的な連携がされているとは言いがたいのが現状である。その最も大きな原因は、両者の「計画」に対する情報の質や粒度(情報メッシュとも言われる)が大きく異なるためである。
多くのERPによる計画は、一定幅に区切られた期間(タイムバケット/タイムフェーズ)での製品納期計画であるのに対し、MESが必要としているものは、連続する時間軸上での計画、すなわち、その製品をいつ・どのような手順で・どの設備で生産するかといったスケジュールであるため、ERPの出力をそのままMESには入力できない。そのため、計画をスケジュールに落とす業務が必要であり、その業務を実行するためのシステムとして、「生産スケジューラ」がある。
2.階層的計画業務
一般に製造業では、
需給調整計画(全社或いは工場全体、製品ファミリーレベル、中長期的)
基準日程計画(全社或いは工場全体、最終製品単位、短中期的)
作業日程計画(工場或いは作業区単位、資材・作業・完成日時、短期的)
詳細スケジューリング(設備・作業単位、生産現場の個別制約、連続的)
というように階層的に計画(意思決定)がなされて行く。下位層へ進むにつれて、
計画期間は短くなり、計画内容は詳細化されて行く。
システム面からすると需給調整計画・基準日程計画の立案支援として需要予測・SCPなどがあり、基準日程計画から作業日程計画の立案支援としてMRP(資材所要量計画)とCRP(能力所要計画)、詳細スケジューリングのためには生産スケジューラやMES(製造実行システム)などがある。
生産の効率・最適化のため、MESの能力を最大限に発揮するには、効率的生産ができるスケジュールが必要であるが、詳細スケジューリングのみでの効率・最適化では局所的である。各階層での計画業務の質を高めることや各階層間の有機的な連携によってはじめて大きな効果を上げられる。この計画(意思決定)の質を高める仕組みがAPS(Advanced Planning and Scheduling)ある。
言い換えれば、ERP-スケジューラ-MESの有機的な連携をAPSと呼ぶことができる。
(図1参照)

3.APSの視点での連携の効果
APSの実現方法のひとつとして、生産スケジューラはSCP・ERPからの受注オーダに関して(ERPの)MRPによる材料所要または購買システムからの資材入荷予定、MESやWMSからの生産実績や製品・半製品在庫状況、スケジューラが管理する能力所要量とを制約として、時間軸上で整合をとる。そして、現在から近い将来(計画期間)のオーダの割付状態をガントチャートや推移グラフ(在庫やリソース)で表示する。
これにより、
① 資材所要・能力所要・納期・在庫のバランス
② 受注オーダの変化(納期・数量の変更、見込みから実受注、特急オーダなど)や能力所要の変化(歩留のぶれ、設備のメンテナンス予定や故障、作業員の増減など)
に対し、現在はもとより近い将来に問題がないか、あるとすればどのような対策を講じればよいかなどの意思決定を行うことが可能となる。
孔明7の各種ガントチャートや推移グラフ(在庫やリソース)は、直接計画に携わる担当者ばかりでなく、関係者(生産、営業、購買、保全等)にも分かり易い情報提示手段であるので、彼らの意思決定や業務改善にも役立てことができる。(図2参照)
また、スケジューリングデータとERPやMESとの実績系データと関連付けを行い、多彩な情報取得や分析が可能となる。
(下の画像をクリックし、ポップアップ画面をご覧下さい。)
4.「TEC生産支援システム」の目指すところ
上記のような形で生産スケジューラを連携させることにより、個々のシステムをひとまとまりとしたAPSシステムを構築することが可能である。この手法でのAPSシステム構築サービスを当社では、「TEC生産支援システム」構築サービスと呼んでいる。
「TEC生産支援システム」は、1つのパッケージ商品ではなく、いわゆる「Best Of Breed」型のシステム構築手法をとる。生産スケジューラである孔明7を「情報ハブ」と位置付け、既存システムを含む個々のシステムを有機的に連携させて、間隙のある業務領域に対して必要最小限のシステム開発を行うものである。
この手法は早期に効果の大きいAPSソリューションを構築が可能であり、お客様にとって費用的にも労力的にも負担が少ないというメリットがある。当然ながら、個々のユーザでシステム導入状況・ビジネスモデルが異なるため、実現したシステム構成も様々である。
(表1参照) (下の画像をクリックし、ポップアップ画面をご覧下さい。)
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ここで注意が必要なのは、単にERP/スケジューラ/MESをシステム的につなぐだけでは、機能の重複/抜けや業務の不整合が生じ、返って機能不全や効率低下といったことになりかねない。
「TEC生産支援システム」手法でのAPS構築は、個々の企業のシステム導入状況・ビジネスモデルによって、千差万別であるため、十分な業務分析を行い、あるべき姿とそれを活用するための運用手順、必要十分なシステム機能の洗い出しが求められる。
そのため、実施にあっては、高度な分析力・コンサルティング力・モデル構築能力はもとより、具現化のためのプロジェクトマネジメント能力が不可欠である。
それらのシステムおよびサービスを提供するのが「TEC生産支援システム」構築サービスが目指すところであり、その中核をなすシステムが“孔明7”である。