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【孔明7】第2回 APSの雛形としてのTEC生産支援システム

さて、「TEC生産支援システム」構築サービスは、1つのパッケージ商品ではなく、お客様の既設のシステムも含めたシステム群によって、社内SCM並びにAPSを構築するサービスです。いわゆる「Best Of Breed」型のシステム構築手法であり、生産スケジューラ孔明7を「情報ハブ」と位置付け、既存システムを含む個々のシステムで間隙のある業務に対して必要最小限のシステム開発を行い、早期に効果の大きいAPSソリューションを提供してゆくものです。当然ながら早期に立ち上げられることにより、お客様にとって費用的にも労力的にも負担が少ないというメリットがあります。

この事例として、ハイテク業界のA社様の事例をご紹介したいと思います。


~A社様事例~

1.商品・生産の特性

A社様の商品・生産の特性は次の通りです。

●原材料の品種は少ないが商品は大量・多品種。
●歩留の変動が大きい。製品数不足のリスクが高い。
●特急オーダが多い。
●在庫可能期間が短く商品ライフサイクルも短い。従い、在庫の廃棄リスクが高い。
●工場は24時間稼動。従って、上記の変動が納期に与えるリスクがとても高い。


2.孔明7導入前の業務フローと課題

A社様の孔明7の導入前の業務フローは次図の通りでした。この図で点線の部分はExcelや帳票での業務となっていて、人手作業に近い状況でした。


一般に製造業では、

■需給調整計画(全社或いは工場全体、製品ファミリーレベル、中長期的)
■基準日程計画(全社或いは工場全体、最終製品単位、短中期的)
■作業日程計画(工場或いは作業区単位、資材・作業・完成日時、短期的)
■詳細スケジューリング(設備・作業単位、生産現場の個別制約、連続的)

というように階層的に計画(意思決定)がなされて行きます。A社様においてもこの階層的な計画業務がなされていましたが、次のような課題がありました。

(1)基準日程計画までは、一定幅に区切られた期間(タイムバケット or タイムフェーズ)での計画(意思決定)がなされ、かつ、その意思決定が一方向(上意下達)でした。このため、資材所要と能力所要のアンバランスによる生産効率低下や製造上の変動が事前に把握されず、納期になって問題が表面化するといったことが発生していました。

(2)需給調整計画を基に材料手配と基準日程計画が独立に作成されていました。その両者のバランスを取るのが作業日程計画の段階となっていますが、受注オーダの優先順位を鑑みながら利用可能資材・設備を割付けるのに高度な技が必要で、リスク回避のため過剰生産側に計画を振っていました。

(3)資材購買部門では需給調整計画をもとに資材の発注を行ないますが、製造部門での資材所要日が判らない上、歩留の変動が大きいことから、資材欠品のリスクを回避するために必要以上の購買を行い、資材在庫の増大を招いていました。


3.孔明7を中核としたAPSシステム構築

 このような状況で、A社様はAPSシステム構築プロジェクトを立ち上げ、そのパートナーとして、TECをお選び頂き、現場計画業務の中核として孔明7を採用した次のようなAPSが実現しました。

(1)工場受注から実際に生産する生産オーダ計画(作業日程計画)では、
●MESからの製品在庫の引当だけでなく、孔明7によるスケジューリング結果から得られる将来入庫も引当
●生産の投入順番を決めるオーダのグループ化(連続生産したいオーダのグループ化:孔明7の割付機能については第4回で詳述)とオーダソート実施
●生産オーダから資材所要を求め、購買システムへ依頼

(2)スケジューリングでは、
●MESから日々実績を取り込み、それを反映したスケジューリング実施(24時間稼動の工場では、実行可能なスケジュールに保つために必須)
●MESからの資材在庫と購買部門からの資材入荷予定を入力し、納期・資材所要・能力所要のバランスの確認

(3)スケジューリング結果については、
●MESへ迅速で精度の高い作業指示
●資材・能力の制約を考慮した正確な納期回答
●スケジューリング結果から評価データ並びに評価グラフを出力

(4)マスター関連では、
●基幹システムの製品・製造仕様管理マスターとの連携
●マスター情報の簡易入力


4.APSシステム構築の効果

このAPSシステム構築で、A社様は次のような効果を上げていらっしゃいます。

(1)新規のオーダ(工場受注)の取込は1週間ごとですが、計画に対する実績の変動や特急を含むオーダ変更に対し、日々スケジュールの見直しが可能となりました。これにより、1ヶ月先までの納期リスク、資材リスク、過剰生産・生産量不足リスクが日々掴めるようになり、相反する命題である納期遵守・安全在庫低減の両方を実現できる目途がたちました。

(2)資材待ちリスクの早期発見が可能となりました。

(3)業務の標準化・効率化、ノウハウのシステム化・形式知化、などが図られ、かつ、日々改善する環境が整えられました。


5.まとめ

この事例からSCP・ERP・MES・WMSなどとそれらを補完する形でスケジューラを連携させることにより、システム群全体としてAPSシステムを構築することが可能であることがお分かり頂けたでしょうか。
この手法で構築するAPSシステムは、個々のユーザー様のシステム導入状況・ビジネスモデルによって千差万別です。TECは、経験豊富な生産業務コンサルタントがユーザー様と共にその業務分析を行い、あるべき姿とそれを活用するための運用手順、APSとして整合性を取るための「Best Of Breed」型のシステム、つまり「TEC生産支援システム」構築サービスを提供していますので、是非ご利用下さい。

次回は、APSの中でのプランニング部分(基準日程計画・作業日程計画)にスケジューラを連携することの効果に的を絞ってご説明したいと思います。


「孔明7の内容に関しましては、以下のURLアドレスのホームページをご覧下さい。
http://www.toyo-eng.co.jp/jp/Technology/komei7/index.html

また、お問合せ等がございましたら、次のメールアドレスにてご連絡下さい。
contactmail@is.toyo-eng.co.jp


(1)上記の機能は、オプション機能や近日リリース予定の機能を含みます。
(2)参考文献:PSLXコンソーシアム「PSLX標準仕様 バージョン2 勧告版」(http://www.pslx.org)
(3)Excelは米Microsoft社の登録商標です。

(東洋エンジニアリング株式会社 ビジネスソリューション事業本部 孔明チーム マネージャー 野並 隆)

2006年09月12日 17:24