これから6回の連載を担当することになりました東洋エンジニアリング株式会社(以下、TEC)ビジネスソリューション事業本部孔明チームの野並隆です。この6回の連載を通じて皆様に次の点をお伝えしたいと思います。
・スケジューラとは何か。孔明7とは何か。
・スケジューラはERP、MES、WMS、SCPの機能を補完するか。
・最近耳目を賑わすAPSとは何か。
・APSという語は単独のパッケージシステムを指すと誤解されていないか。
・孔明と他システムとの連携で構築してきたTEC生産支援システムはAPSか。
・MCFrameやその他のERP、SCP、MES,WMS等と連携する孔明7の機能特徴は何か。
・孔明7はどこに向かっているのか。
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第1回 なぜ今スケジューラなのか、そしてAPS(Advanced Planning and Scheduling)なのか
TECは、スケジューラ「孔明」のベンダーであると同時にエンジニアリング会社(様々な手法や技術をインテグレートすることで、客先の生産プロセスや業務プロセスの改善や改革のためのソリューションを提供する会社)ですので、スケジューラ「孔明」の導入に止まらず、お客様に“APSソリューション”を提供しております。APSに関する定義等は後述することとし、ここでは一点だけ述べておきます。TECが考える“APSソリューション”とは、「スケジューラ孔明自身あるいはそれをカスタマイズして、APSシステムとしてご提供する。」ということではなく、お客様の既存のERPや生産管理システム、SCP、MES、WMSなどとともにスケジューラ“孔明”を連携させることで、結果的にお客様にAPS環境の提供を実現しているということです。
■スケジューラとは何か。孔明7とは何か
そもそも、生産スケジューラとはどのようなものかというと、与えられた生産オーダ(何を、何時までに、どれだけ)に対して、さまざまな制約条件を考慮しつつ、いつ、どこの設備で生産するのか(日々の生産計画)を立案することを中核とした生産管理業務支援ソフトウェアです。すなわち、“連続する時間軸上”に有限の能力所要を超えないように作業を割付けることがその本質であります。
TECのオリジナルソフトウェアライセンスである生産スケジューラ「スケジューリング孔明」は、1992年の初版を発表して以来、250ライセンスを超える納入実績を得ることができ、多くのユーザー様にご愛用頂いてまいりました。そして、生産スケジューラを取り巻く環境が、ERP (Enterprise Resource Planning)システムやSCM (Supply Chain Management)システムの普及、データベースやネットワークの発達といった具合に変化するに伴い、単に「生産計画を立案するソフトウェア」からERP・SCMシステムが有効に機能し、大きな企業価値を生み出すための中核コンポーネントとしての役割を求められるようになってきました。そのような大きな流れにお応えするために新生産スケジューラ「孔明7」は開発されました。
(図1)TEC事業分野の変遷
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■最近耳目を賑わすAPSとは何か
また、“生産スケジューラ”と言うとその活用領域としてAPS(Advanced Planning and Scheduling)が話題になっています。APSの定義には、色々な方から多くの見解が示されていますが、TECはPSLXコンソーシアムの定義が最も適切であると考えています。それに依るとAPSは「製造業における計画やスケジューリング業務を、変化の激しいビジネス環境に俊敏に対応可能なように連携させ、サプライチェーンの流れとエンジニアリングライフサイクルの流れを情報モデルとして的確に捉えながら全体最適につなげる意思決定の仕組み」と定義されています。
APSの視点(特に「意思決定」という視点)から見て孔明7の特徴は多々ありますが、その中で特筆すべきものとして、次の4点が挙げられます。
(1) 資材在庫の制約も考慮したスケジューリングが可能
孔明7は設備や作業者の能力を考慮したスケジューリングはもとより、特定の日時の在庫数および将来の入庫予定を入力して、これを制約としてスケジューリングが可能となっています。この機能により、必要設備の能力をチェックすると同時に必要資材の有無をチェックすることができるようになり、両者の均衡のとれた計画(すなわち意思決定)が可能となります。いわゆる「有限能力&有限資材スケジューリング」の機能を持っています。
(図2)孔明 スケジューリング画面
(2) 作業時間実績および生産数量実績を反映したスケジュール調整が可能
孔明7には作業時間実績と各作業における生産数量実績を取り込み、スケジュールを調整する機能があります。例えば、ある設備で生産時間実績が当てられた作業に続く予定作業をその作業順を変えずに時間軸上で制約を満たしながら移動できます。また、ある工程で予定より実績生産量の過不足があったら、その過不足を後工程の生産時間や生産量に反映させる機能があります。つまり、実績を反映した現在の状態を元に将来の状態をスケジュールを通じて的確且つ迅速に見渡すことができるようになり、全体最適につなげる意思決定に寄与できる訳です。
(3) 計画担当者の意思を反映したスケジューリングが可能
オーダ順を変えたり、能力条件を変更した時、スケジューリングを最初からやり直してしまうと今までスケジューラに反映させた計画者の意思が全てリセットされてしまいます。しかしながら、実際は、資機材や人員の手配への影響を考えると、全ての作業割付を変更するのではなく、特定の設備だけを対象にして作業の再割付という意思決定を行いたいという要求がでてきます。そこで、孔明7は、既に作業が割りついている設備や時間軸上の前後関係を変えずに制約を守るスケジュール調整機能を提供しています。
(4) 「見える化」「見せる化」が可能
計画担当者ばかりでなく、社内の関係者(生産、営業、購買、保全等)にも分かり易く情報提示を行い、彼らの意思決定も容易なものとなるようにするために、孔明7ではビューワや設備稼働率のような評価表やグラフも用意しています。また、データベースビューにより孔明7データベース内のデータを参照できますので、ERPやMESとの実績系データと関連付けして多彩な情報取得や分析が可能となっています。
このように孔明7はAPSの中核を担うに十分な特徴を持った生産スケジューラと言うことができますが、次回(第2回)は、これらの特徴を活かしユーザー様に“APSソリューション”をご提供するTEC生産支援システム(APS構築サービス)について事例を踏まえ説明します。
「孔明7の内容に関しましては、以下のURLアドレスのホームページをご覧下さい。
http://www.toyo-eng.co.jp/jp/Technology/komei7/index.html
また、お問合せ等がございましたら、次のメールアドレスにてご連絡下さい。
contactmail@is.toyo-eng.co.jp
(1)上記の機能は、オプション機能や近日リリース予定の機能を含みます。
(2)参考文献:PSLXコンソーシアム「PSLX標準仕様 バージョン2 勧告版」(http://www.pslx.org/jp/)
(東洋エンジニアリング株式会社 ビジネスソリューション事業本部 孔明チーム マネージャー 野並 隆)